
アルバム:I Love You,答えてくれ リリース:2007年
正しさとはなんなのか。誰が正しくて、誰が正しくないのか。
うぬぼれてしまったとき、初心に帰るための道しるべになる。そんな楽曲だ。
Nobody is Rightの通り、正しい人などいない。というのがこの曲の真髄である。
人はみな、思春期を迎え、自我を形成し、学校という小さな社会に苦労し悩み、その中でアイデンティティを確立していく。
そして、社会に揉まれ、自分はなんて出来が悪い人間なんだと絶望し、周りの人を羨み・妬み、アイデンティティが崩壊し再度確立を図る。
誰が正しくて、自分はどういう人間になればいいのか。どういう振る舞い方をしたらいいのか。
そんな苦悩を導いてくれる曲であると共に、この解説によって一人でも多くの人が、この曲に触れ、人生を歩んで欲しいと思う。
私は、自分が全て正しいと思った時期があった。
自分が正しいと思っていた時期は、表も裏も知らないからこそ、自分は無敵であるような錯覚に陥る。
そして、周りの人を下にみて、自分よりあの人は劣っている/優れているなどの優劣をつけ、対応を変えてしまっていた。
原因が分からないまま友達が離れていく。
うまく強調できない。そして悩み苦しみ、少しでも自分のアイデンティティを傷つけないようになんとかして自分を守ろうとする。
アイデンティティを守るため、相手を下に見ることで、あの人よりは大丈夫などと自分のプライドを守る。
そしてまた嫌われる。その繰り返しであった。
しかし、人間とはいつかは成長するものだ。
相手を尊重し、尊敬できるようになった。逆に、相手のいいところばかり見えてくるようになって、自分はなんてダメな人間なんだと劣等感に駆られてしまう。もしかしたら、人生はそのような浮き沈みの感情に駆られ続けるのかもしれない。
中島みゆきが教えてくれる答えは、”正しい人などいない”である。
自分を基準に置けば、自分以外が正しくなくなり、 相手を基準に置けば、相手以外が正しくなくなる。
自分だけが正しいのであれば、その日は正しくない人としか接することができない。
その日は嫌いな人としか出会えない。一生軽蔑だけしかいだけない。
そもそも正しい人などいないのだ。
その答えを知るだけで、人生は一気に楽な気持ちになるだろう。
そして、自分の心に妬みなどが生まれてしまったとき、この曲を聞くことで初心に帰ることができる。
また、この曲では、戦争や争い事への警鐘を鳴らしている。
世界の偉い人たちは正しさを主張し、戦争や争い事に持ち込んでいる。
正しさを説いているのではなく、自分は正しいのだと力づくで証明することに快感を覚えているだけなのではないだろうか。
正しさを建前に、実際は戦争に勝ち植民地を増やそうとしているだけではないだろうか。とこの曲を通して訴えているのである。
この曲に合わせてお酒を飲むのであれば、何種類かのウイスキーを、ストレートで飲み比べて欲しい。
ウイスキーの一つ一つにそれぞれの個性があり、原料は全てモルトなのに、全く違う味わいを感じることができる。
このウイスキーの香りは最高だ。最初のアタックは他のウイスキーのほうが好きだな。などとそれぞれのウイスキーを尊重し、完璧なウイスキーなどないと感じて欲しい。