
2000年 収録アルバム:Singles 2000
中島みゆきの歌は?と聞かれたらヘッドライト・テールライトを挙げる人は多いだろう。
NHKのテレビ番組、プロジェクトXの主題歌として作成されただけに、一般的に知名度を獲得している楽曲である。
そして、この歌を解説するためにはプロジェクトXの解説が先に必要となる。
プロジェクトXとは、何かに苦労し、努力し、そして成功を成し遂げた人々にフォーカスしたドキュメンタリーである。
例えば、マツダのロータリーエンジン、東京タワーの建築、、黒四ダム建設、ホンダF1参戦など、
その出来事は知っているが実際には誰が成し遂げたのか。どうやって成し遂げたのか。を知っている人は少ないだろう。
そんな方々にスポットライトが当てられた番組であり、ヘッドライト・テールライトはそんな方々に向けた楽曲である。
この曲を聞くときは、一度部屋を真っ暗にして目をつぶって聴いて欲しい。
舗装されていない不安定な獣道をヘッドライトだけを頼りに進んでいく車の情景が描けるだろう。その車は絶対に四駆ではない。二輪駆動で何度もホイールスピンしながら、行先がわからないまま、それでも突き進んでいく。
この楽曲のキーとなる言葉は、”旅”である。この楽曲で示している”旅”とは何なのか。それは、”人生=旅”の言葉に置き換えているのである。
つまり、”ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない”は、”ヘッドライト・テールライト 人生はまだ終わらない”と言い換えることが出来る。
語り継ぐ人もなく名前を忘れられ、今までの足跡(活動)は全て雨に消されてしまい、それでももがき苦しみながらヘッドライトだけを頼りに突き進んでいく。
なぜ突き進めるのか?それはテールライト(過去の活動と自信)があるからこそゴールが見えなくても突き進んで行けるのである。
人は前に進まずにはいられない。どれだけの苦痛があったとしても。決して途中で人生を終わらせてはならない。旅はまだ終わらないのだから。 そう励ましてくれる楽曲なのだ。
この歌をつまみにして飲むとするなら、クセのないバーボン樽を使用したスコッチウイスキーはいかがだろうか。
時にはその日の気分に合わせて、辛いことがあった日はピート香があるスモーキーなウイスキーを。
少し色恋で幸せなことがあったらフルーティーなウイスキーを。
飲み方はロックがベストだろう。ヘッドライト・テールライトを聴きながら自分の過去とこれからに向き合い今までの人生の経過を思い出す。そしてロックの氷が徐々に溶け加水され、ゆっくりとウイスキーの味わいも変化しまろやかになっていく。
そんな飲み方が最高のマリアージュだろう。
オススメの一杯は、
クセの無いウイスキーであれば”グレンフィディック12年”
スモーキーであれば ”アードモア レガシー”
フルーティーであれば”グレンファークラス 12年”をどうぞ。